ショートストーリー

□五月の緑の山々
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闇子実(やみこみのる)は作曲家で、クラシックを得意とする。

闇子は妻と息子、娘の4人家族である。

今日は作家の蓮本錬三郎(はすもとれんざぶろう)が闇子の自宅を訪れる約束になっている。

午後2時、闇子の家に蓮本が来た。

「どうも、中へどうぞ」闇子は玄関で蓮本を迎えた。
闇子は蓮本を応接間に案内した。

二人はテーブルをはさんで向かいあって、黒いソファに腰掛けた。

「今日はあったかいですね」闇子は言った。

「雪は降りそうにありませんね」蓮本は言った。

「今年は雪は降りませんでしたね」

1時間位、二人は世間話などをして時間を過ごした。
午後3時半を回って二人は仕事の話をし始めた。

「あなたはクラシックが分野ですがオペラは一つしか書いてませんね。もう書かないのですか」

「書いてみたいですね」

「どういうものを書きたいですか」

「まだ考えていません」

「私と共作しませんか」

「何かありますか」

「そうですね。嵐とか魔女などが出てくるものはどうですか」

「いいですね」

二人は興に乗り話始めた。
「まあどうぞやって下さい」闇子は栗饅頭を蓮本に勧めた。

「頂きます」蓮本は栗饅頭を一つ取った。

二人は作曲の話を進めた。
「1時間半くらいの作品にしたいです」闇子は言った。

「とにかく歌劇を作りましょうよ」蓮本は言った。

午後6時半、蓮本は帰った。

闇子は自宅のピアノに向かっていろいろ曲の構想を奏(かな)でた。彼は夢の世界に浸(ひた)った。

そしてオペラ〈五月の緑の山々〉は出来上がった。

蓮本と闇子の共作である。
全国ツアーを展開した。

(おわり)

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