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□僕の彼女は
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【政宗と幸村の場合】



「政宗殿っ政宗殿っ」


昼休み。チャイムと共に政宗のクラスへやってきたのは彼女である幸村であった。


「どうした真田。今日は随分気合い入ってるじゃねぇか」


幸村ははにかんだ笑みで頷いた。


「今日は政宗殿の為に……その、弁当を……」


もじもじと言う幸村。


(やべえ……俺の彼女マジcute……)


鼻血爆発寸前の政宗だったが人前で鼻血だなんて竜のプライドが許さない。ましてや愛する幸村の前である。


「Thanks!何をつくってきたんだ?見せてみな」


政宗が弁当のふたを開けようとすると幸村がさっとその手を掴む。


「や、やっぱり駄目でござるうう!」


「……Ha?」


何それ。生殺し状態じゃん


幸村はカーッと顔を赤らめた。


「実は真に恥ずかしながら……その……某、料理などはじめてて……」


自信がない、と俯く幸村。しかしそれは政宗の心にさらに火をつけた。


(やべええええ幸村マジangel!どっかの血まみれのangelより百倍angel!!)


「政宗殿のお口に合うかどうか自信がありませぬ……」


しょんぼりうなだれる幸村。

やばいどうしよう可愛い食べちゃいたい。


「……ま、政宗殿?鼻血が……」


慌てて鼻血を拭う。


「幸村……お前の料理の腕なんか関係ねぇ……お前からの気持ちで俺はもう満腹さ……」


「政宗殿……」


幸村はパアッと顔を明るくした。


「政宗殿はお優しいでござる!」


「あったり前だろ……(ただし幸村に限る)」


幸村は政宗の手を離した。


「では……是非召し上がって頂きたい!」


「OK!」


政宗はガバッとお弁当の蓋をあけた。


(こっこれは……)


「その……えっと……見かけはアレでござるが!」


そのお弁当はなんというか。


「very gorgeous……」


キャビアやらフカヒレやら政宗が見たことが無いものまでどこから持ってきたんだというような高級食材が詰まっている。もはやお弁当の域を越していた。



「実は毛利殿と石田殿にお手伝い頂いたのでござる!そしたら石田殿が『私がいつも半兵衛様から頂いていた弁当はこの様だった』と……」


「あー……あいつ豊臣のとこのご令嬢だったっけ……」


というか何故その二人をチョイスした。明らかにミスチョイスだろ。


「お、お気にめさらぬか……?」


心配そうにこちらを見る幸村にまたしてもドキリとする。


「んなわけあるか!最高のpresentだ幸村……だが」


政宗はニッと笑った。


「この量は一人じゃ食えねぇ……一緒に食ってくれるよな?幸村」


「……っ」


幸村はやはり恥ずかしそうにコクンと頷いて、それから政宗の横にそっと椅子を引き寄せ座ったのだった。









(誰よりも可愛い、俺の彼女)







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