かにもえ

□大名様は狩りに行く?
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ミサの抜刀切りが顔面にヒットし、またもや怯むクックに立て続けに切り続けるミサ。
しかし距離を取ろうと後ろに飛んだクックが羽ばたき、その風圧に顔を反らしたミサはクックの突進に反応出来てなかった。

「危ない!!」

だがミサは咄嗟にガードをし、なんとか対処できた。

「……凄いな」

ニルスもかなり驚いている様だった。しかし一人だけ険しい表情をしていた。

「アレじゃダメだ」
「どうしてだ?」
「大剣は抜刀斬りからの溜め斬り、そして回避が基本だ。あんな連続で切り続け、そしてガード。こんな事をしてたら切れ味がすぐに悪くなっちまう。「教官が言ってただろ、ヒット&アウェイ戦法だ!素早い抜刀斬りで戦え!」ってな」

さすがは大剣使い何も考えてない事はなかったんだな。

「……だが俺達に言っても意味がないんじゃないか」

たしかに…
コイツは肝心な所を考えてなかったか……

「狩りが終わったら教えるんだよ!」

「お兄ちゃん!クック先生が足を引きずってどっかに行っちゃったよ。」
「クック先生?」
「うん、クック先生!こっちの方がかぁいいでしょ」
「そうだな。でもクックを早く追いかけないと」
「なんで?」
「クックは足を引きずってたんだろ?」
「うん」
「クックみたいな大型モンスターは傷つくと巣で休んで回復しちまうんだよ。だから早く追いかけないと傷の癒えたクックがまた来るから振り出しに戻っちまう」
「あ、でもまって、この大剣なんか切りづらくなってきたの」

刃溢れしたのか

「それはたぶん切れ味が下がったんだと思う。そうゆう時はコレを使うんだ。」

オレはポーチからキレアジを取り出した。

「魚?食べるの?」
「違う、コイツはキレアジっつってな刃を研ぐのに使うんだ。」
「お魚さんかわいそう……」
「そうだぞ、なんで砥石を持って来なかった。」
「オレは弓兵だぞ、なんで砥石を持ってこなくちゃいけないんだ?」
「だったらなんでキレアジを持って来るんだ?お前は切れ味とか関係ないだろ」
「……弓にも切れ味はあるぞ」
「しかもキレアジを空ビンと調合して接撃ビンが出来るんだ、コレは矢の切れ味を上げてくれるんだぞ」
「あっそ、だけどなミサちゃんはキレアジが砥石の代用品になるのがかわいそうなんだ。」
「ううん、違うの……食べられないで研ぐだけだからもったいないの、だからお魚さんがかわいそうなの」
狩りの時にも食欲優先ですか……
みんな唖然としてるし、

「……俺の砥石を使うか?」
「ん?ありがとな、それはそうとジェウス、お前はあれだけ言っておいて砥石出さないのか」
「オレ持ってねぇし」
「はぁ?なんで剣士のお前が砥石持って来ねぇんだよ!」
「相手はクックだぞ、それにオレは一発一発が強力だから切れ味はあまり下がんねぇよ」
「………いくらギルドがイャンクックだと言っても間違えてる時もある、聞いただけの情報を鵜呑みにしてはいけない」
「すまんな、油断大敵だよな」

「とにかく巣に急ごう」



巣に行ってみるとクックはもう寝てといた。

「寝てるよ?」
「叩き起こしてやれ」
「うん!」
「ちょっと待て」
「どうした」
「モンスターは寝てる時にはダメージが上がるの知ってるよな」
「あぁ、だから叩き起こすんだろ?」
「全武器で一番ダメージが多いのは大剣の溜め斬りだ。そこで寝てるクックに弱点の頭に溜め斬りをすると結構いいダメージが期待できるぞ。ミサちゃん、クックの頭に溜め斬りをしてみ」
「うん、やってみる!」

クックに近づいていき抜刀したが何故か戻ってくるミサ。
「どうした?」
「溜め斬りってどうやるの?」

そっからか……

「ん〜、どう説明すっかな……そうだな、全神経を腕に集中させて振り下ろす、でいいと思う」

「わかった!」

今度こそ溜め斬りをするミサ。

「むむむッ……えいっ!」

いきなり叩き起こされたクックは寝耳に水、いや…寝耳に大剣と言ったところか、クックは面食らっている。
よく見ると襟巻きみたいな耳がボロボロになっていた。

「よっしゃ!部位破壊したぞ!」
「ミサちゃん!音爆を使うんだ!」
「おんばく?おんばくってなぁに?」
「ごめん!音爆弾の事だ!」
「わかった!」

ミサはアイテムポーチから音爆弾を取り出してクックの顔に思いっきり投げた。

キィーン

遠くで聞くと妙に心地好い音が巣の中でも響いた。

「ミサちゃん!今のうちに溜め斬りを!」

ミサはクックの頭に力を溜めた大剣振り下ろし、クックは絶命した。

「ごめんね、クック先生…」

ミサはクックの死体に寄り添い悲しんでるようだった……
ミサはモンスター相手にも心優しかった。

「クック先生はわたしがちゃんと焼き鳥にして食べてあげるからね」

………台無しだァ!!
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