〜小説〜【江戸】
□碑蝶螺
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朧月…みえているはずなのによく見えないその姿はアイツと瓜二つだ
「・・・・・・だ、、な」
小さな力ない声で何かを呟く銀時
「ん?銀時、何か言ったか?」
その弱弱しい声に先ほどまでの情事を思い出す
少し、ムリをさせすぎたか・・・泣かせすぎたな
反省をする気もなくクスッと笑う
「俺たち沢山、失ったんだな・・・」
今度はかすれながらも聞こえる声で
それに少し高杉が反応する
「何を失ったっていうんだ? 俺には何も変わっちゃいねェーと思うがよ」
「それは・・・」
「そろそろ寝るぞ」
答えを避けるように蝋燭の日を消し明かりをなくした
「高杉・・・」
「もう、寝ろ」
「・・・・・・」
今宵は朧月、腫れない靄に眠れずにまだ残るは あたたかさ・・・