〜小説〜【江戸】


□心君想し―ココロキミオモシ―
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目をつぶってまた開く

変わらない世界

「高杉・・・」

変えられなかった世界も奴も・・・

「桂さん お目覚めですか?」

浪士が一人俺の部屋の前で挨拶にくる

「ああ 悪いが俺は今日、会合には欠席する みなに言っておいてくれ」

「わかりました 体よくお休めください」

そういい終ると部屋の前から立ち上がり行った

「銀時は大丈夫だろうか・・・」

俺でさえこの怪我なのだ 銀時は重傷だろう・・・

高杉・・・お前は銀時を愛しているのだろう?

証拠に奴がアイツを見る目は・・・

どうしてこうなったのか

――始まりこそ同じだったが俺達は最初から同じ場所を見てはいなかった――

それでも、それでも俺はお前と・・・

秘めた思い

一緒に・・・

伝えもせずに終わった恋情

辛いなんて思ったことはなかったのになにを今さら

締め付けられる胸

「はは・・・俺は京の女より女々しいらしい・・・」

こんなこと許されるはずがない

顔をみたらまた、昔に戻れる気がした

楽しかったあの頃

それでも苦しかったあの頃

毎日奴の銀時をみる視線を感じ締め付けられた

「ヅラァ、お前俺のこと好きだろ」―――・・・

「高杉、貴様 俺を馬鹿にしているのか?」―――・・・

「くくく・・・俺が気付かないとでも思っていたのか? なぁヅラ」―――

「な、にをッ!?・・・なんのつもりだァ!!」―――・・・

「・・・いーじゃねぇか・・・一夜限りの適わぬ恋・・・お前ェにはぴったりだぜ?」―――・・・

そう言って俺を抱いた高杉

見えていたのは銀時だったのに・・・

どうして癒えようか

この胸の傷が

銀時の心を壊したいと願う悪趣味な奴

壊せないと知り俺を抱いた奴

許せなかったのに殺せないのだ――・・・

 
 
 
 
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