〜小説〜【金魂】

□売り物
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ネオンの輝き

男達のケンカ

金中心に回る世の中

そんな世界の中で金のために愛を売っている俺は表の世界からはどう見えるのだろう――・・・

「金時さーん、指名はいりましたァー」

夜の時間

俺の仕事

女から金を巻き上げること

「金時さーん?」

「はいはーい金さん、入りまーす」

黒いスーツ赤いシャツ 目立つ金髪は派手なものではなく透けるように綺麗で瞳は薄い紅に紫を薄くひいたような切れた瞳

気だるげなその足取りで指名された席まで行く

「キャァァ金さーん久しぶりぃー」

女の黄色い声

「久しぶりーえと、名前なんだっけ?」

「んぅもうっ、酷いわ 金さん貴沙よキサァーいいかげん覚えてよぉ」

「あぁー悪ィーなキサ」

最初から覚えようなんてしてないのに覚えているわけない

「もういいわ それより何か飲みたいものあるぅー?あ、パフェ頼もーかぁ?好きだったわよね甘いもの」

「ん、あぁ 俺甘いもの好きだなー酒はんじゃあ一番高い酒で なんちゃって」

「うふふ かわいーぃ、わかったわ一番高いお酒ね すみませーんここで一番高いお酒とパフェを二つくださーい」

女というものは浅はかなもの

こんな偽者のために必死になる

それでも太陽が昇ればまた元の姿

それが真面目だったり

エリートの会社員だったり

遊び好きのOLだったり

人妻だったり

母親だったりする

太陽が昇ればみんな表の姿になる

でも、俺には裏の姿しかない

「金さぁんパフェきたわ 食べていいわよ」

この女も例外じゃない

「はい、あ〜ん」

「あーん 甘い・・・」

あ、やっぱパフェうめェ・・・なんて今更感動しながら

ここにいれば毎日のように女が取ってくれる

「金時さん、神楽さんご指名でーす」

店員の一人が大声で呼ぶ

「えぇ金さん、またアノ人ぉ?パトロンだっけ?・・・いいなぁ金さんのパトロン私もしたいけど・・・」

「悪ィーなキサちゃんっ また、指名してくれよー」

そう言って立ち上がるとキサの頬に軽い口付けをして去っていく

「・・・はぁ」

どうして惹かれるのかわからない

彼はこれが仕事なのに

こうしてくれるのが当たり前なのに

通ってしまう

あの無愛想な態度に私への気持ちが入っていたらって期待してしまう

彼がいないなら居る意味はない

「・・・帰るわ」

彼へのパトロンなんてどの位お金が要るのか底知れない









そんな彼女の想いも知れずに金時は神楽の元に居た

「金ちゃん、相変わらずの人気ネ・・・わかってるの? 貴方はだいたい私のボディーガードとして存在してるのよ? NO、1になるなんて・・・もういいけど貴方だって警察に見つかったら危ないのよ私に関わっている以上は」

「へいへいわかってますよ…貴方様が大きなマフィアのボスだからでございましょぉ・・ゴフッ」

「何し・・・ッ」

「黙るヨロシ あそこ見るアル刑事の土方よ あの刑事はとくに危険ネ それにこのごろ、ここら辺に目をつけているアル このホストクラブまで狙われてるみたいだから気を抜いたら殺すヨ」

俺は息を止められたショックですこしムセて顔まで見る気にはなれなかった

「あ、そろそろ定春のご飯の時間ネ じゃあね金ちゃん」

「ゴホッあ、ああ」

苦しそうに手を振る

店を出て行ったのを見ると安心して

「あーぁ、相変わらず怖ェ女だぜ・・・」

そう言うと奥の一角にある自室に向かった


 

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