頂き物&捧げ物

□猿飛佐助の憂鬱
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暖かい風が吹いて来る季節。桜が舞い、人々が花見を楽しむ季節。そんな日にもかかわらず、佐助は任務に赴いていた。


任務の内容は『伊達軍視察』。どうやら武田は近々伊達と戦をするらしい。そこで佐助は偵察を任されたのだ。


(こんな良い季節に仕事なんて…嫌だねぇ。)


しかし、佐助はそんな愚痴を言葉にはせず、忠実に任務をこなすために奥州へ赴いたのだった。


伊達政宗の居城に忍び込んだ佐助は、死角になりそうな城の屋根の上から伊達軍の様子を伺っていた。本来ならば木々が良いのだが、今の季節、城内の敷地は桜が満開。つまり、佐助は迷彩柄の忍装束ではバレやすいのではないかと考えたのである。


「うーん、我ながら良い案だねぇ♪流石は俺様!」


自画自賛しながら腕を組み、うんうんと頷く謎の迷彩忍。ていうか貴方任務は?


「っと、伊達軍の偵察偵察っと。」


佐助は改めて気合いを入れ直していると、ふと向かい側に建っている蔵に入っていく人物を見掛けた。


(あれは…。)


その人物とは、奥州の中でも腕がたつ竜の右目―――片倉小十郎だった。


そして彼は、


佐助の恋人。
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