頂き物&捧げ物

□猿飛佐助の憂鬱
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(…恋人なのに敵同士。ゆっくり会って話すこともできない。小十郎との出会いはいつだったっけ?)


佐助はその場に胡座をかきながら考え始めた。


(あれはそう…ちょうど一年前のこの時期だ。)




――――――――――


「くそっ…しくじった。」


昨年のちょうど今頃、佐助は徳川家康暗殺という任務をしくじり身体に無数の切り傷を負いつつも命からがら逃げていた。


出血も酷く、下級の忍からの攻撃で毒の塗られた刃を掠り傷程度だが、不覚にも受けてしまった。

その毒の進行は遅かったが、逃げて回ったせいか佐助にとっては早く感じてしまった。

漸く敵の忍を撒いた時には佐助の身体は限界に達しており、遂には森の中で倒れてしまった。


「はぁっ…くっ!」


自分が今何処にいるのか、そしてどれだけの時間が経っていたのかも考えられなくなるほど意識が朦朧としていた。

身体は痺れて動けない。口からは血の味がした。荒い呼吸を繰り返す度に血が口端から溢れ出した。

そして意識を飛ばす前に覚えていたのは、人の男が彼の側に何か叫びながら駆け寄ってきたことだけだった。
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