頂き物&捧げ物
□奥州双竜攻防戦
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『真田幸村ァ!!』
『伊達政宗ぇぇぇ!!!』
互いの名を叫び刃を交える。
これは、何時からだったか。
「政宗様…どちらに向かわれるおつもりですか?」
「上田に決まってんだろ?」
「また"真田幸村"でございますか…政宗様、貴方はこの奥州一国の主にございまするぞ、程々に致しませぬと…」
「やれやれ、小言は聞き飽きたぜ…仕事は終わらせたんだ。構わねぇだろ?」
統治者としての自覚がないわけではないが、いまいち緊張感に欠ける。
現にまた―――
「おーい、独眼竜はいるかい?」
出奔した身とはいえ、他国の武人がこうも自由に城に出入りするのは如何なものかと思う。
もっとも、ここに辿り着くことを阻止出来なかったウチの野郎共の気合いが足りねえことも問題なのだが。
…後で締め直してやるか。
「政宗様…前田の風来坊が見えた様ですが…政宗様?」
客人に気を取られている隙に、主は姿を消していた。
「まったく…小言の原因がご自身にあることをいい加減に理解していただきたいものだが…」
何となく痛む頭に手を当て、取りあえず煩い客人を追い払うことにする。