Labyrinth(話)

□5限目:傷跡
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朝。特に用事があった訳ではないが、何となく目が覚めたのでいつもより少しだけ早く学校へと向かった
通勤ラッシュの時間帯の為人が溢れ返っているその場所を掻き分ける様にして進むと、ホームで高杉が立っていた。



「はよ高杉、お前行くの早ェな」
「…お前が遅ェだけだろ」
「まぁそれもそうだけどよォ…」



そんな会話をしていると、待っていた電車が来た
人ごみに押しつぶされる様な形になりながらもその電車へと乗り込む
…こういう事を言うとまた高杉に怒られるかも知れねェが、人より少し小さいあいつは人ごみに潰れてしまいそうだった
助けて高杉に怒られるか、見放して自分の良心を痛めるか…悩んだ末、俺は高杉の手を引っ張って自分の所に引き寄せ壁側へと置く
今高杉は俺が壁に付けた両手に挟まれるようにして立っている状態…身長差的にどうしても見下ろすようになりながらも言った。



「潰されない様に守っててやるよ、晋ちゃん?」
「…っ殺されてェのかお前」
「嘘です調子に乗りました御免なさい」



電車も暫くすると学校の前の駅に着き、乗る時同様人に押しつぶされる様な形になりながらも電車を降り
他愛も無い話をしながら校門をくぐって靴箱へと向かった。










5限目:傷跡








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