銀魂(話)

□雪の中に咲いた紅い華
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※死ネタ(?)注意








「…しっかりしろ、総悟!!」
「……っ」



…ドジ踏んじまった。右足に一発と腹部に二発、こりゃあもう駄目だな…
雪の降る中…血まみれになった隊服。土方さんに背負われて俺と土方さんを、俺の体から溢れてくる生暖かい血が更に俺たちを紅く染める
つもりに積もった雪の上に、赤黒いその血は鮮明に色付いていた。



「…もう、下ろして下せェ土方さん…俺ァもう無理でさァ…あんただけでも…」
「馬鹿野郎、らしくもねェ…弱気になってんじゃねェよ」
「………」



土方さん…あんただって本当は薄々判ってんだろィ?こんだけ体に鉛球打ち込まれてんだ、もう助かる訳ァねェ
大体あんただってもうさっきの戦闘でへばってるくせに…脚がふらついちまってらァ…本当、変な所でプライド高い奴ァこうだから困りますねィ
そんな事を考えると、土方さんの背中で温もりを噛み締めるように感じながら自然と笑みが零れた



「…俺ァ、俺のせいであんたが死ぬなんざ真っ平御免でさァ」
「総悟……」
「俺ァ…あんたに背負われなきゃいけねェ程もう餓鬼じゃねェ」



お願いだから、俺なんか置いてさっさと行っちまえ…



「あんたは俺が始末するんでィ…他の奴なんかにやらせてたまるかよ」
「…こんな状況でよくそんな減らず口が叩けたもんだな」
「こんな時だからですよ、土方さん…さっさと俺を置いて行きやがれ」
「何言って…」
「此処でさよならでさァ…」



俺は自ら土方さんを押しのけると雪の中に倒れこんだ。土方さんはもう一度俺をおぶろうと俺の方に手を伸ばしてくる
餓鬼の頃は当たり前の様に取っていたこの手。でも俺ァもう、あんたに助けられなきゃいけねェほど餓鬼じゃねェんだ…



「…行けって、言ったのが聞えなかったんですかィ?」
「お前置いていけるか馬鹿野郎!」
「いいから…俺ァ、後から行きますから…」
「んな体で歩ける訳ねェだろ…!」
「あんただって、これ以上俺をおぶって行ける訳ァねェでしょ」
「………っ」
「さァ、さっさと…行って下せェ」



土方さんは暫く躊躇ったが、再び進んでいた方向へと歩き始めた

それで良いんでさァ…あんたは死んじゃならねェ。あんたは俺以外から殺されちゃいけないんでさァ
だから…せいぜい戦い抜いて生き残って、歳とって死んでいきやがれ
嗚呼…しんしんと雪の音を感じる
血の紅に染められて死んでいく位なら、この白い雪に埋もれて死ぬのも悪くは無い、か









雪の中に咲いた紅い花







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