銀魂(話)

□温もりを感じていたくて
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「…なぁ総悟、そのー…今日は一緒に寝るか。」
「……は?」


いきなり俺の部屋に入って来た土方さんは妙に顔を青ざめさせていて、何故かかすかに震えながら立っていた
一緒に寝るというのは俺の部屋で寝るという事らしく、片方の腕には枕が抱えられもう片方は煙草を握り締めている
何事も無いのに土方さんが好んで俺の部屋で、しかも一緒に寝ようと提案してくるとは考えにくい、というか有り得ない
わざわざ俺の所で寝ると言わなければならない様な理由がある、もしくはそこまで土方さんが追い込まれているという事である。



「何ですかィ、俺ァ確かに可愛いですが男と寝る様な趣味は無ェですぜ?」
「いやお前それ微妙に意味違ェから、つーか自分で可愛い言うなよ」
「じゃあ何だってわざわざ俺の所に来るんですかィ?」
「えーっと……気分」
「へぇー…」



気分て…どんだけ嘘つくの下手なんですかィ土方さん。
まぁ大方、最近隊士の間で肝試しだの百物語だのが流行ってるからそれ聞いて怖くなった…って所ですかねィ
怖いなら怖いで参加しなきゃ良いだけなのに…妙なところでカッコつけだからそういう事になるんでさァ
まァ取り合えずこのままこの状況を放置も出来ずに土方さんを中に入れると隣にもう一枚布団を敷いた。



「寝てる間に殺されてても文句言わねェで下せェ土方さん」
「言うに決まってんだろ、つか何マジで枕元に刀用意してんだ総悟ォォォ!!」
「まぁまぁ落ち着いて…俺ァ何時も枕元に刀置いて寝るのが癖なんでさァ」
「嘘つけェェェェ!!」



刀を部屋の隅に置かれながらも電気を消して布団に潜り込むと、数分の間に隣から寝息が聞こえてきた
(寝るの早すぎだろィ…)
ふと寝返りを打って隣に視線をやると広い背中が視界いっぱいに入って来た
なんとなくその大きな背中に腕を伸ばしてそれにそっとしがみつくと、布団とはまた違う心地よい温かさが体を包む
此処で刀を取って抹殺…という事も出来なくは無かったがそれをする事は無く、俺はそのまま眠りについた

(まぁ、取り合えずは…)





温もりを感じていたくて
(取り合えず抱き付かれてる様に写メ撮って隊士全員に送らねェと…タイトルは『鬼の副長添い寝をせがむ』で良いですかねィ)













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