H×B
□青春と愛と日常のバカ
1ページ/5ページ
6月、梅雨。雨の降り止まぬ季節。
そんな季節の久しぶりの晴れ間。
「あっづー…」
カンカン照りの陽の下で、パタパタと手でTシャツの胸元を扇いだ。
―まだ梅雨なのに、夏かってのー…―
最近すっかり出番のなかった太陽は、久しぶりの出番をこれでもかと自己主張して謳歌してるのかもしれない。
暑さでぼんやりしてきた頭でそう考えながら、コンビニに行ってアイスをゲットするべく学園内を小走りで駆ける。
すると、視界の隅にうつった、舗装された道の脇、草の上で横になっている人影に気付きあたしは足に急ブレーキをかけた。
「ととっ…、…やっばいなぁ、日射病だったりして」
慌てて近寄り顔を覗きこむと、あたしは表情を緩めた。
「あらら、落とし物は美少女でしたー、…なんちゃって」
「え?」
呟いた一言に敏感に反応して、上条槙さんは重そうなまぶたをゆっくりと開いた。
そしてあたしの顔を見て、数秒の後、ほっと息をつく。