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□少年は止まらない
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あの人の日だまりのような優しさと温もりに毎夜毎夜悩むようになって幾ら時がたちはじめたのか。

こんなんじゃ厳しくなっていく戦いに集中なんか出来ない。

少し前の関係のままならこんな感情とっとと頭の隅に置いたのに。

「やっぱり、あれからだよな」

ミント姉ちゃんがセクター先生を意識していることにハッキリ気付いたあの日から。

グラッド兄ちゃんが姉ちゃんを一方通行で思っている時とは全く違う焦燥感。

「うあ…朝から憂鬱」

そう呟くけども店のメニューに必須な野菜を貰いに行かなきゃいけない訳で。
つまりは姉ちゃんに会わざるえない訳で。

少し前はキラキラとしていたこの時間が今はすごく俺を戸惑わせた。

「よし、覚悟決めて庭に行くかっ」

足を一歩前進させたその時。

「ライ君、おはよう」

突然聞こえた声に不覚にも俺の体はびくりと跳ねた。


「っ…うわ、姉ちゃんか…びっくりした」

「あはは、ごめんね」

相変わらずな笑いを浮かべる姉ちゃんに俺もまた笑って返す。

「あれ?姉ちゃん、門から来たってことは…」

「ん?セクターさんにお家に野菜を届けに行ってたんだよ」

「……あ、そっか」

反応を1テンポ遅れて俺は返事を返す。
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