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□友達の時間
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「はい、短継です。…ええ。今のところ二人に何もありません。それでは」

電話の先で聖奈さんが何か言ってる気がしたが雑談の9割、約10分は惚気話なので私は強制的に電話を切り素早く物陰に隠れた。

目を細め10メートル先を見れば今日の尾行すべき二人のターゲットが仲良さそうに歩いていた。

−正確には一人、か−

腕を組み、眉を寄せる。
なにせターゲットは宮神に関わる裏方の重役、…ではなく生徒会会計であり二期の市川まゆら先輩。

そして警戒すべきは彼女が寄り添って歩く男性。
顔はわからないが周りの女性が振り向いているということは、良い作りをしているんだろう予測す…、え?

「あれは…」

間違う訳がない。色素の薄いショートカット、あの横顔。明らかに金城奈々穂副会長だった。

「何故まゆら先輩と奈々穂副会長を尾行しなきゃ駄目なんだ…?」


今思い返せば…聖奈さんは相手が奈々穂副会長だと知ってたんじゃないだろうか。そうじゃなければ寮から離れたところからスタート、後ろから見てて、なんて細かく指定しないだろう。

それ以前にもしまゆら先輩が危険人物と歩く可能性があるのなら聖奈さん自らがお出ましとなるに決まっている。
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