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□その言葉は闇をも溶かす
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何も音のない世界で。

唯一、強く感じる、鼻をつんとつくような胸がむかむかする嫌な香り。

「っ…!」

何気なく伸ばした指先にまとわりつく液体は自分から流れるものなのか、

…それとも他の誰かから流してしまったものなのか。

「これ、は…」

荒くなる吐息まじりに呟きながら辺りを見回すと一面その色。
気持ち悪さに体を震わせ、空に救いを求めるとそこにあったの紅の満月。

「あ…あ」

誰かの存在を感じ、ゆっくりと前を見ると母の姿。

その優しげな表情に緊張していた顔を緩ませ、手を伸ばすと懐かしい母の体はゆっくりと崩れ落ちた。

「ぉ、おかあ、さんっ…!!お母さん!!お母さん!!」

ただただ名前を呼び続ける少女の心を包むのは虚無と、罪の闇。

恐る恐る手を見ると、半魔になったことを示す紫の肌をしていた…
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