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□彩宵さまより
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毎回仕事終わると私は忍術学園へむかう
それは表向きでは父上への伝言、洗濯物を届ける、母上の近況報告…などなど家族の間のことということになっている
もちろんそれもあるのだが私の中での本当の理由は別にあった











忍術学園の門の前に着いたので軽く門を叩く
すると中から「はあ〜い」という間抜けだがどこか愛らしい声が聞こえた

そうだ、と思い付く。
ちょっと意地悪してやろう
そう思って屋根の上に飛び乗る
ギイ〜っと門が開き中からへっぽこ平事務員が出てくる
「ほぇ?今確かに音が聞こえたんだけどなぁ〜?」
キョロキョロと辺りを見回してから呟く彼。
なるべく音をたてないように彼の後ろへ飛び降りる
彼の目を私の手でそっと目隠しする
そして耳元で
「誰だ?」
と囁く
「えぇ?誰ですか?」
平事務員は質問を質問で返してきた
「当ててごらん」
簡単に教えたらつまらないからね
「う〜ん…利吉、さん?」
「正解」
目隠しを解放してやる
「急にびっくりしましたよ〜!」まったく本当にからかいがいのあるやつだ
彼が
「入門表にサインを」
というのでサインをしてやってから学園の中に入る
「今日は山田先生に御用かあるんですかあ?」
ニコニコと事務員が問いかけてきた
「今回の仕事はキツくてね…宿がとれなかったからここに泊めてもらおうと思って」
すると事務員がきょとんとして言った
「あー…今日はお客様が来てて部屋無いんですよね…」
「一部屋くらい」「無いんです」
彼がここまでいうなら無いのだろう
今日は野宿かなんて考えていたら彼が
「僕と同じ部屋で構わないなら泊まっていってください」
笑顔でなんてことを言うんだ君は






食堂のおばちゃんのおいしい料理を食べて風呂にも入った
事務員に連れられ彼の部屋へ向かう
不意に彼が立ち止まり
「ここが僕の部屋です」
といって襖を開ける
「ふぅん、案外綺麗な部屋なんだね」
そう呟くと彼は嬉しそうに笑った










「粗茶ですが」
「ありがとう」
彼の入れたお茶はお世辞にも美味しいとは言えないけれど彼らしい味で好きだった
「小松田くん」
「なんですかー?」
「君は可愛いね」
思わず出てしまった本音にしまったと思ったが逆にこれはチャンスかもしれないと思った
「今まで言うつもりはなかったけど、私は君が好きだよ」
私としたことが緊張してのどが渇いたので茶をすする
「…それは利吉さんが僕のことが大好きということですか」
彼が俯きながら言う
「まあ、そう言うことに、なるのかな」
彼が顔を上げる
「なんだあ〜!僕も利吉さんの事大好きですよ!心配しなくても僕たち友達じゃないですか〜」
眩しい位の笑顔で彼が言った

「………だからっ!イライラすんだっ!君を見てるとっ!」
「ふぇ〜?待ってくださいよ〜」
彼の追跡を振り切って忍術学園から出る
「あんの………鈍感!!!!」
冬の夜空に利吉の声が響いた






―――――――

フリリクに甘えて彩宵さまからいただきました!
鈍い小松田さん可愛いです。萌えます。にやけます。
ありがとうございました!

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