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□1.焦がれる2.追いかける3.諦める4.懐かしむ
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05.望む(しぶ乱)



同じ学園だったらよかったのに。乱太郎がドクたま忍術教室に入学してればよかったのに。あの三人組を見るたびにそう思う。
一年は組は課外授業中。山を登って下って体力作りのマラソン。乱太郎は足が速いのに一番後ろの三人組で走っていた。理由は簡単だ。ぷくぷく太ったしんべヱが遅いから。足手まといなんて置いて、さっさと先に行っちゃえばいいのに。それともきり丸が傍を離れないから?あいつだって銭の音が聞こえただけで消えちゃうじゃないか。ぼくだったらそんなことしない。しんべヱよりも速く走れるし、きり丸みたいに欲に負けて置いていったりしない。乱太郎が足を挫いたら僕が背負ってあげる。乱太郎は軽いだろうなあ、触ってみたいなあ。大丈夫か?って手を引っ張ってあげたい。ありがとうしぶ鬼、と笑顔で言われたらきっと耳まで赤くなってしまう。あのフリー忍者みたいに格好よくなれたらいいのだけれど、まだまだ未熟の卵だからポーカーフェイスができないのだ。は組のやつらは毎日微笑みを見れるのだろう。一緒に掃除したり、ふざけあって遊んだりするのだろう。いいなあ、いいなあ。しぶ鬼、いつまで乱太郎たちを見てるの。いぶ鬼、お前金吾を尾行してたんじゃなかったのか?もうゴールしたよ……本当に遅いね乱太郎たち。茂みの中で会話しても気付かれないぼくたちは五本の指に入るぐらい優秀なドクたまだ(4人しかいないけど)。もう魔界之小路先生のところに戻ろう。でもまだゴールしてないからさ。ねえしぶ鬼……、



遠い所からどんなに見たって話し掛けなきゃ始まらないんだよ!






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