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□1.焦がれる2.追いかける3.諦める4.懐かしむ
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06.願う



頭がぐしゃぐしゃで利口そうには見えないけど優しい竹谷先輩は後輩に好かれている。下級生をぐーっと甘やかして、懐かせているのだ。頭なでなで攻撃は威力抜群、即死状態。あの大きな手のひらにやられたら一溜まりもない。僕もやってもらいたいなあ。でも僕は三年生で、委員会で二番目に年長だから甘える立場にはなれないのだ。寧ろ支える立場になるべき。毒虫を逃がしてしまうこともあるけれど、まあそれはまあ仕方ないというか。
もうすぐ七夕だから短冊書くぞー。一人一枚ずつ色とりどりの紙を配る。どうせなら叶わなそうなぐらいでっかい願いを書くんだぞ!竹谷先輩の願いはなんですかー?俺は勿論生き物と会話できるようになることだ!確かに叶いそうにないけど、叶ったら大変なことになりそう。菜食主義になってもおかしくない。交流して、友達になって、その動物を食えと言われたら。友達を駆除しろと言われたら。僕は耐えられない。それに会話なんてしなくてもジュンコの傍にいられるし、過ぎたものは害を引き起こす。そんなもの必要ない。書いたかー?あ、ちょっと待って下さい。さらさらと文字を綴る。竹谷先輩の特別になれますように。無記名だからできることだ。普段だったら絶対やらない。下級生の短冊を回収し、中に自分のを挟んでから先輩に渡した。さ、これから木陰でお昼寝でもしようかなあ。




気持ち良い睡眠を先輩の声が邪魔をする。なんですか先輩。新しい短冊と筆を渡される。叶ってる願いなんてしても勿体ないだろ?……それってどういう意味でしょうか……?。書き直しっ。






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