Nin
□君は固まってしまった
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秀作はいつも一人で私のことを待っていると思っていた。
漸く仕事が終わり、忍術学園に行くことができた。別に秀作に会いにいく訳ではない。父に会うためだ。
だから私は秀作の癒し系笑顔で迎えられたいという理由で行くのではないと理解してほしい。
まあ、秀作が私と会話したいんだったら仕方ない。急いではないし。
あの子は私が来なくて寂しがっているに違いない。目を伏せてこっそりポロポロなくのだ。
彼には私が必要。これは当然のこと。
学園に近づいたところでヘムヘムと戯れている秀作を見た。
ヘムヘムを抱きしめ撫でている秀作の表情はとても幸せそうで。ヘムヘムもまんざらじゃないようで彼の顔をペロペロ舐める。
寂しさなんて欠片もない。
「あ、利吉さんこんにちは」
君なんで嬉しそうな顔してるの。私の前ではそんな顔あまりしないのに。というかヘムヘムに舐めてもらって嬉しいのか私がしたら君は眉を寄せただろう。
「入門表にサインして下さい」
犬だから許される。ならば私は
「私は君の犬になりたい」