Nin

□過去拍手
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一応恋人同士だし変ではないはず



小松田君がだしたお茶菓子は餡団子だった。しんべヱ君オススメの店で買ったんですよ、しんべヱ君の舌は味が肥えているからとっても美味しいはずです。彼が言うとおり団子はとても美味しい。味も柔らかさも申し分ない。彼の出す菓子は大抵美味しい(たまに食べ物とは思えないものも出す)。
私の不満はそこではないのだ。恋人同士になって大分たったがいつもと何も変わらない。接吻はしたけれどその先はしていない(奥手ではないと主張する)。ベタベタするのを望むわけではないがもう少し恋人らしく振る舞ってほしいというのが本音だ。
例えば団子を相手に差し出して『あーん』をするとか(古いとか考えるな、ここは室町時代なんだから)。相手の手に付いた餡を舌で舐めるとか。何か恋人以外にはしないことをしたい。そういつも考えるのだが叶わないのが世の無情、今日も菓子を食べ終えてしまった。
美味しかったですねまた買ってきますねと言う彼もまた無情。私の気持ちなど全く気付かないのだから。私の落ち込みを知らない彼が見つめてくる。柔らかい唇が近づきぺろりと私の口の端を舐めた。餡が付いていましたよ、照れた様子もなく平然と言われた。こっちは赤みを隠すのに精一杯だ。




兄とお互いによくやったと聞いて熱が一気に冷めた。優作さん、あなたはどこまで邪魔をすれば気が済むのですか。
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