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□1.焦がれる2.追いかける3.諦める4.懐かしむ
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04.懐かしむ(優→秀)



一生懸命、学園長主催の祭の受付をしている弟。失敗はあれど、職務を全うしようとする姿に大人になったのだなあと感動する。お兄ちゃんは嬉しいよ。招待状の発送先を間違えていたとしても全く問題ないない。

学園祭で評判だった小平太ギニョールが再販している。秀作は前回も受付だったから買えなかっただろうなあ。残念そうな表情が目に浮かぶ。よし、買ってあげよう。お菓子類も十分に食べられなかっただろうなあ。緩んでいく財布の紐。


幼い頃も沢山あんずあめやら綿飴やら買ってあげた。お兄ちゃんありがとう!と嬉しそうに手を握るのだ。可愛い弟の笑顔には適わない。
人混みにはぐれたときは大変だった。何せまだ背が小さいものだから、大人に埋もれて見えないのだ。私を呼ぶ弟。弟を呼ぶ私。会えた瞬間抱き合った。わんわん泣きながら私を呼ぶ弟。秀作の傍には私しかいないのだと優越感が湧いたのは秘密。



「秀作、お土産あげる」

16歳になっても子供っぽさが抜けない弟。その顔をよく見ていたいからお面は渡さない。手のひらいっぱいにお土産をのせる。

「わあ!ありがとうお兄ちゃん!」

昔と変わらない笑顔の弟……と右手の小平太ギニョール?

「秀作、小平太ギニョール持ってたのか」
「利吉さんがお土産にくれたんだあ」

頬を染めているなんてまるでそんなちょっと待て。



お兄ちゃんお兄ちゃんとついてきてくれた頃に戻りたい。そうしたらあんなフリー(ター)忍者なんか追い払ってしまうのに。





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