BASARA

□過去拍手
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日本の食卓において箸と茶碗は重要な位置を占めている。それらを使わない日など無いに等しい。
だからこそすぐに買う必要があったのだ。新しいmy茶碗を。


幸村の茶碗の割れ方は見事だった。きっちり真っ二つに割れていた。
幸村のお気に入り『戦国戦隊5本槍』の絵も2.5、2.5人に別れてしまっている。何故2.5人かと言うと、真ん中のレッドが半分に割れているからだ。
信玄は今日も忙しく、左助と幸村の2人で買いに行くことになった。勿論、お金は信玄から貰っている。
まだ小学生にもなっていない幸村は年上の左助と手を繋いで歩いていた。にこにこだ。

「新しい茶碗はどんなのにする?」
「とらがいい!!」
「あるといいね〜」

もっと子供らしい茶碗にしてほしいのが本音だ。


子供用と言っても茶碗は色々な柄がある。
一応真田家は名のある家系。100均ですますわけにはいかない。
桜や向日葵、猫に兎、オクラなんて誰も選ばそうなものまであった。

「オレはこのオクラの茶碗がいいぜ!!」
「も、元親、この鳥はどうかしら?」
「いやだ!絶対このオクラがいい!」

いた、オクラを選ぶ人。母親はかなり焦っている。

「さすけ、とらがあったぞ!」
「んーどれどれ〜………」

その虎はとても鋭い目でこちらを睨みつけている。水墨画のようなのもまた威圧感を与える。
けして、子供用とは言えなかった。

「もっと可愛いのはどうかな〜」
「かわいいはだめだ。かっこよくなければ」

だからってこれは行き過ぎだろう。どちらかというと信玄のような年代が使うものだ。
まだオクラのほうがいい。あの綺麗な緑色をした。
とりあえずそれから目を逸らさせなくてはいけない。適当に虎を探した。

「あ、あれはどう?」

左助が指差したのは虎が仁王立ちをしてウインクしている変わったものだった。
左助は自分で指して後悔した。センスが無さ過ぎる。

「そっちのほうがいい」
「嘘ぉ!?」
「じぶんでえらんでなにをいう?あのだんごがら、おいしそうだ」
「団子?……ああ隣のか…」

その茶碗には赤、白、緑の三色団子が描かれていた。幸村の大好物だ。

「って食べる気?茶碗だよ?」
「きめた。あれにしよう」

幸村は団子柄の茶碗を持ってレジまで左助(別名財布)を引っ張って行った。


「それが新しい茶碗か幸村」
「はいっおやかたさま!」
幸村は新しい茶碗を持ってにこにこだった。信玄は自分の火男柄の茶碗を持ってそうかそうかと言った。
左助はもっと良い柄があったのではないかと自分の狐柄の茶碗にご飯をつけながら思った。


まあ、彼が喜んでいるならそれでいいのだけれど。
 

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