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□所詮彼も男だったということで
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教師たちは本当に酷いと思う。
この暑い中どうして学校に行かなければいけないのか。
熱中症になったらどうするんだ。健康管理をしっかりしなければいけない。
つーっと汗が流れる。早くシャワーを浴びたかった。
ああ、まだまだかき氷も食べたい。甘いシロップをかけて。


『ぱしゃん』


「ぱしゃん?」



気が付いたらすでに引っ張られていた。水が冷たい。
上からも水がかかってくる。おれは噴水に着いたのか。
ぐるりと見れば良く知った場所。城内でよかった。

「お帰りなさいユーリ」
「ただいま、コンラッド」

コンラッドはにこにことしていたが、少しだけ(普通の人なら気が付かないくらい)目を見開いた。
「ユーリ、これを着て下さい」

コンラッドは自分の上着を俺の肩にかける。正直暑い。

「コンラッド、濡れちゃうよ」
「構いません。着て下さい」

何としても譲れないみたいだ。仕方ない。暑い暑い。
少しだけ、コンラッドの耳が赤くなっていた。
彼も暑いのだろう。おれはコンラッドに合わせるようにいつもより早く歩いた。



「暑い……」

眞魔国でも夏は暑いらしい。
アニシナさんに扇風機でも作ってもらおうかな。大ヒット間違いなしだ。
コンラッドに借りた、正しくは押し付けられた上着を脱いだ。
鏡には濡れて透けたシャツを着た自分。

下着が透けていた。

「あ、あー」

だからコンラッドは貸してくれたのだ。無理やりに。
やっぱり優しいなぁコンラッドは。きっとみんなにもそうしているのだろう。
モテるコンラッド。なんだか胸がちくりとした。
……シャワー浴びてこよう。



「はい、どうぞ」
「ありがとう!」

おれのかき氷には赤い苺のシロップ、コンラッドのには緑のメロンのシロップがかかっている。
かき氷機はアニシナさんが作ったらしい。勿論、動力源は魔力なのだから……考えてはいけない。

「んーっ美味しっ」
「よかった」
「食べたいなって思ってたんだ。ありがとう」
「どう致しまして。今日は暑いからね」

にっこり爽やかに笑ってるから全然そんなふうに思えない。嘘ついてんじゃないか?とか思う。

「コンラッド、さっきは上着貸してくれてありがとな」

言ってから思い出す。貸したということは……

「見たんだな」
「見てませんよ」
「見たろ」
「見てません」
「青いやつ」
「え?ピンクだったような気が……あ」
「見たんだ」

彼はコホンと咳をする。

「これからはちゃんとベストをきて下さい」
「暑いよ」
「暑くても」

目が怖い。とりあえず「はい」と言っておいた。



そうでもしないとこの名付け親は何時までもそのままなのだから。

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