ホモ部屋

□俺ん家来ん?
1ページ/4ページ

テストがあと数日という鬼気迫った時に、携帯で電話する。

呼び出し音が耳に痛くて、若干携帯を離して相手が出るのを待つ。

『…もしもし?』

待ち望んだ白石部長の声に、直ぐに携帯を耳に当てる。

「おはようございます」
『おー、おはよー。どうしたんや?』
「ちょお勉強教えて欲しいんですわ」

そう言うと白石部長は
『え?』
と小さく呟いた。

『何の教科か知らんけど、まぁ教えたるわ。今日の14時から県立図書館に集合でええか?』
「あぁ、はい。分かりました」


相手が電話を切るのを確認してから、こっちも電話を切る。


家を早めに出て、電車で図書館へと向かう。
がたんごとん。
そんな音を聞きながら目を瞑る。
がたんごとん。


ふ、と気付いて目を覚ますと、そこは知らん駅。
目的の駅から5つも先。

(やってもた…)

取り敢えず電車を降りて、反対側のホームに向かう。

(間に合うやろか)

そう思った矢先に、見知った声が聞こえた。

「財前、どうしたんや?こんな所まで来て」

そこに居ったんは白石部長。

目的の人物。

「えっと、」

まさか寝過ごした、何て言えへん。
どう答えるか考えてたら、白石部長はふわっと笑って

「俺のこと迎えに来たんやろ?可愛い奴やなぁ」

とか何とか。絶対気ィ付いとる。でも気遣ってくれたんやろな。

「…。」
こっちが黙っていると、白石部長は肩にぽん、と手を置いて

「せっかくここまで来たんや、俺ん家来ん?」

「あ、じゃあせっかくなんで。」

白石部長は俺の頬にちゅっ、とキスを1つ落とした。

「ほな行こか!」


差し出された手を握って、そのまま歩き出す。


今顔真っ赤やもしれん。恥ずかし…



白石Side→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ