ホモ部屋

□どん底
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落ちて、墜ちて、堕ちて。どん底。

そりゃ、男同士やし、拒絶するんは分かる。けど。


ああもう、俺らしくないわ。優しさに甘えて告白してこの様て何やねん。
ダブルス一緒にやるから気使ってくれとっただけやのに、何を勘違いしたんやろ。

明日どんな顔して会えばええんやろか、

気持ち悪いもんでも見る様な顔と拒絶の言葉。忘れたいのに頭の端を過る。


はぁ、小さな溜め息1つ。

するとそこに白石部長が。
今話したくないわ

部長は俺に気ィ付いたのか俺の座ってるベンチの横に腰掛けた。

「財前?何か暗いやん、どうした?」
「何も、」

その一言を言い放って立ち上がるとくい、と腕を掴まれた。
そのまま椅子の方へ思い切り引っ張られて。
座った俺の正面に立って左右の肩を押さえ付けられた。

「逃げんなや」

じっ、と目を見つめられて。

「あいつに振られた?」

ああ、知ってんのか。俺が謙也さん好きって。

「部長は拒否しやんのん、男が男好きって可笑しいやないですか。
俺かて好きになる筈や無かったんスわ。やのに、」

堪えていた涙が目尻に溢れて来て。そないに好きやったんか

「恋愛は自由やからなー。肯定されることもあれば拒絶されることもある。」

包帯を巻いた手でくしゃりと頭を撫でて来た。
片方の手で俺の涙を拭う。

「俺かて今不毛な恋してんねんで?好きな奴は他の奴好いてるし、」

不意に近付く顔。あれ、

キスしてる?


「お互い傷心やし、慰めあおうや」


END


傷心、なんて。俺が財前好きで、財前は謙也なんか好きで。


傷心を言い訳にしてキスしても、
感情は謙也に向いとる。ちょっとでええねん、ちょっとでええから


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