ホモ部屋

□27センチ
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はぁ、と息を吐いて空を見つめる。

広いコートにラケットも持たんと、何してんねん。


飛び出た所で鞄は部室に放りっぱなしやし、帰りたないし。


はぁ、とまた息を吐き捨てる。

「何であんなんで怒ったんやろ…」

身長小さいってこと気にしてへんつもりやったんやけどな

これから伸びるやろうし。

「光君」

どきん、と胸が高鳴る。
怒鳴りつけた本人が後ろに立ってた。

「千歳先輩…」

謝らな

でも何て?


ぐるぐる回る思考の中で出てくる言葉は下らないことばかりで。

千歳先輩に背を向けて、下を向いとったら、後ろから抱き締められた

パンクしそうやった頭はそれだけで真っ白になって、急なことすぎて今の展開についていけやん自分が居る。

「すまんかったばいね」

耳元で囁かれた言葉は俺が言わなあかんかった台詞で。

「な、んなんスか、先輩」

何で謝るんですか、って続けたかったのに話を遮られた。

「まさかそこまで気にしちょると思わんかったばい」
「あんなんただのやっかみやないですか。」

下を向いていた顔を前に向けて言う。

「先輩に身長ちょっとでも追い付きたかったんやと思います」

思ったことをそのまま口にして。
緩くなった千歳先輩の腕からすり抜けて、先輩と向き合う。

「先輩にちょっとでも俺んこと見て欲しかったんや」

今度はこっちから抱きついて、

恥ずかしい

今日思考回路おかしいわ。俺いつもこんなんやったっけ

「え、光君?」

戸惑う千歳先輩に釘でも差すように、そっと触れるだけのキスを交わして
口を開いた

「好きや言うてんですよ」

驚いて、目見開いて。こんな表情初めて見た気する


「俺んこと嫌っちょるんじゃなかと?」
「嫌いな人に好きや言えるほど人間出来てませんて」

そう言うと、千歳先輩は口を押さえて、喜びの表情を見せた。

「俺も好いとる」

深く口付けをして、お互いに照れて、笑って。


今時珍しいくらいのウブやな、なんて思う



身長差は15センチが理想、その思いは変わらん。
やって、今のままじゃ、どんなに頑張っても身長抜けやんし、キス1つすんのも大変やし。


やけど、まぁ、ええかって思える自分が居って。


何や、成長した気する



*HAPPY-END*



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