ホモ部屋

□貪欲なまでに貴方を愛しています
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嫌な夢を見た。
抱き締められて、刺される夢。血の独特な感じも、流れる感じも変にリアルで。
あの人がそないなことする筈無いのに、嫌な汗が全身を覆う。いつもの笑顔が消えた悲しそうな顔が頭から離れへん。


何時ものように、千歳先輩の家を訪ねる。片付いた部屋に足を踏み入れて、何時ものように、自分でお茶をいれて、それを自分で飲み干して。
何時もどおり。
ここで千歳先輩が俺に触れて来るのも、そうして笑顔になるのも。
何時もどおり。
何も怖くない。それを確認してから、俺は笑顔を返した。
「先輩て何で俺のこと好きなん?」
「光君だから、たい。」
意味の伝わらない返答に困惑していると、まるで当たり前の様にキスをされた。
深い、甘いキスに酔い痴れて、
そこで千歳先輩は俺を抱き締めた。
ここも、何時もどおり。変な夢に踊らされてる気分。

じんわりとした痛みとか汗が流れる感覚、嫌な匂い、感触は気のせいや。
夢を思い出して身体が勝手に勘違いしとるだけ。背中を伝う血だって、そう。
「何や、眠たいわ。先輩、寝ても、ええ?」
「ゆっくり休むと良か」

酷く、悲しい笑顔はやがてただの悲しそうな顔に変わり果てて。
長い夢やな、早よ目覚まさな。
本物の先輩の所に行かな、心配しはるわ

「おやすみ、」


END



愛故に、閉じ込めたいと思うのは間違っちょると?

冷め切った頬に触れて、キスをした。

 
 
 
 
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