現在
□我がまま。(前編)
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頭脳。容姿。身のこなし。ファッションセンスの良さも皆…。
「完璧ですわっつ!!」
「お、お嬢様っ。それ異常乗り出されると危険かと。」
ここはC.C。
否、正確に言えばC.Cよりも遥か上空。
巨大なプロペラから騒音を立てて宙に浮くのは、これまた巨大なヘリコプター。
そこの側面には、デカデカとP.Tの文字が金色に光り輝いている。
ヘリコプターの全開に開けられた窓から身を乗り出す様にしている女。
何やら双眼鏡を片手にC.Cを視察しているらしい。
新手の企業スパイかとも思うが、どうやら彼女の狙いは他の所にあるらしかった。
腰まであるブロンドの髪は綺麗に縦に巻かれており、小さな背丈には似合わない何段ものフリルがあしなわれたドレスを身に纏っている。
見た目は20代半ば程。
しかし、しつこいまでに施された化粧は、彼女を実年齢よりも老けて見せていた。
彼女よりは随分と年が上だろう。
隣の男は、小綺麗な燕尾服に身を包み、彼女をお嬢様と呼ぶ。
「お、お嬢様。本当に例の作戦を決行なさるので?」
「当然ですわ。私は欲しい物は何でも手に入れて来たんですからねっ! 」
腰に手を当てて、高笑いする。
その女こそ、今回の騒動の引き金になろうとは…。
…まだ誰も知る由は無かった。
「P.T。プライベートトラベルかぁ。へぇー。素敵じゃない。」
カプセルコーポレーションのリビング。
ふと雑誌のある記事に目を留めたブルマは感嘆の声を上げていた。
暖かな日差しも心地よい昼下がり。
トランクスはジュニアスクールへ。
夫であるベジータは、重力室に身を置いている。
久しぶりの静かな午後。のんびりとお茶を楽しむ夫人にブルマもお邪魔させて貰っていた。
「あら〜。プライベート・トラベルね〜。それならママも一度行った事があるわよ〜。格安で、しかもプライベートな旅が満喫出来るのよね〜。一度、パパとマイアミに行った時は最高だったわ〜。」
その気になればジャンボジェット機丸々チャーター出来ると言うのに。
今、庶民の間で流行っている格安料金の海外旅行を満喫してきたらしい夫人は、うっとりと宙を見据えて言った。