現在

□漆黒の少年。
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「…で、母さんは今頃過去の世界に行ってるよ。タイマー式だから、あと一時間もすれば元の世界に戻れる。」


勝手に商品を作り上げてしまった事を、どやされたりはしないだろうか…。


ベジータの顔色を伺いながらも、その過程を告げたトランクス。


しかし、その反応はトランクスが考えていたのとは少し違っていた。


「どの時代に行っている?ブルマの事だ、カカロットと初めて出会った日とやらに行っているのだろう?」


「え?あ…違うよ。」


ブルマが最初に行こうとしていたのをズバリ答えてしまったのには、トランクスであれ呆気に取られた。


「ならばどこだ?言わんと…。」


「わっ!わわっ!言うよ!言うってば!」


またもや襟首をふん掴まれる勢いに、トランクスは慌てて上体を仰け反らせて言った。


「父さんの過去っ!母さんが父さんの小さい頃を見てみたいって言うからさー。まだ惑星ベジータの頃だから危険もないでしょ?」


「…何だと?」


トランクスが慌てて全てを告げるや否や、ベジータの眉間はピクリと微動し、深くしわ寄せられた。

と同時、ベジータはクルリと踵を返す。


「と、父さん?どこ行くの?」


殺伐とした気を携えた背中にと思わず問い掛ける。


そのトランクスに返ってきた返答は意外なるものであった。


「タイムマシンを起動させろ。俺がブルマを引き連れて来る。」


「まっ、待ってよっ!危険は無い筈だろっ!?」

カツカツと大股で歩くベジータに小走りで必死に追い掛けた。


ドーム10個程はあるだろう、広いカプセルコーポレーションの室内。


それをあっという間に、研究施設前にと歩を進めたベジータは、ピタリと足を止めた。


同時。
ゆっくりトランクスの方を振り返る。


「…知らんのか?」


「な、何を?」


つり上がげられながらに歪んだ口元。
その額には一筋の汗が滲んでいる。


全てのベジータの表情が、現状の深刻さを物語っているかの様だった。


強張るトランクスを前に、ゆっくりと呻く。


その声は、これから始まるだろう悪夢の様な出来事を予兆させる如く、暗く低く響き渡った。








「惑星ベジータ…その場所こそが本当の地獄だ。」



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