現在

□限界。
3ページ/7ページ



その必死な様が至極面白いかの様に、くくっと喉で笑われた。


ブルマの背中をゾクリと悪寒が走り抜ける。


今までのスパークとはまるで違う。


静かに…それでも獣の眼かの様な強い光を放つ碧眼も…。


周りと自身に暴挙を働くでも、気絶するでも無くただひたすらブルマの前に立ち竦むのも…。


口元がおぞましいまでに歪み、いつもの気品すら失った表情も…。


「い…嫌っ。離してっ。」

ベジータとはまるで別人。
そうに感じると同時、頭の中に鳴り響く警告音。

が、必死なる訴えも、今のベジータには届かない。


「何故だ?この俺に触れて欲しいのでは無かったか?」


右手はブルマの左腕を掴んだまま。
左手はブルマの頬を撫でる。


いつもの加減は無い。
荒々しくなぶられる。


「一体どうしたって言うのよっ!こんなあんた、あんたらしくない…。」


必死に逃れ様と荒げた声。
それも容易く塞がれた。

端正な薄い唇は、まるでブルマを食べるかの様に、激しく口元を覆う。


息が出来なくなりそうな程、密着させ奥の奥まで押し付けて来る。


息苦しさで開かれた僅かな隙間に、超化の所為に熱を宿した舌が滑り込む。


ジュルジュルと音を立て、全ての唾液は吸い尽くされた。


まるで脳髄が痺れた様に 、ブルマの体は自由が効かない。


舌は更には奥にと侵入し、上顎内部をなぞったかと思えば、ブルマの舌を絡め取った。


「んっ。…んくっ。」


思わず息を漏らすのを、さぞかし面白そうに眼を細める。


「いっ!嫌っ!!!」


僅かに解放された唇。
ブルマはその隙に、必死に声を荒げた。


無論、抵抗した所で、ベジータの力に適う筈も無い。


が、ブルマの唇を執拗なまでに責め立てていた動きはピタリと止まった。

「べ… ベジータ?」


恐る恐る、その表情を覗き込む。


ブルマが見たベジータは、頭を両手で抱えたまま微動だにしない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ