現在
□限界。
4ページ/7ページ
「な、何なのよ…。一体。」
汗だくになりながら、開かれた碧眼。
苦しんでいるとしか見えない表情にブルマは思わず手を伸ばした。
と突然。
「触れるなっつ!!!」
ッツ!!!バリッツ!!!!
響く怒声と、電気が走り抜けた様な音。
それが部屋中を走り抜けると共に、ベジータの体の周りをバチバチと放電が走った。
「きゃあっつ!!」
その凄まじいエナジーにブルマは成す術無く、ベッドの上に放り出される 。
「…くっ。」
まるで抑えが効かない猛獣を体の中に飼っているかの様に、ベジータは身悶えた。
そして、その体はテラスから一瞬で飛び去ってしまった。
その姿を追う間も、咎める声を上げる間も無い程、一瞬で…。
「っつ!!!!!ぐがああぁっっつ!!」
コントロールを失った体。
抑制すら出来ないまま、それでも何時の間にか人気の無い広野にと来ていた。
そこで、半径およそ一千メートル先の岩石までをも全て破壊しつくさせ“気”を放出させる。
暫くして、少しだけ落ち着きを取り戻したベジータは、肩で荒く息を吐き出した。
こんな筈では無かった…。
昔とは違い 、無茶なトレーニングはしていない。
常に限界を察知して、そのギリギリまで体を追い込む。
それは、ここ何年も変わっていない。
が、どういう訳か…。
超化した時に増す軽い興奮状態が、年を重ねる毎に増加していたのだ。
自身の体の中を渦めく醜い獣の血。
戦う場があったならまだしも、今はその捌け口も無い。
微弱な女の気を察知する度に、全身総毛立つ感覚に襲われる。
強い禍々しいまでの興奮と欲情は、幾度暴挙を働こうとしたか数知れない。
故に女を避けて来た。