現在
□限界。
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この3日。
顔すら合わせなかったのは、いわば彼女を守るため。
強い興奮と欲情のまま彼女に暴挙を働けば、いつも全神経を注ぎ扱わなければ壊れてしまうヤワな体は一溜まりもなく破壊されてしまうだろう。
「っつ!くそったれ!!」
恐怖に見開かれた女の双眼がベジータの脳裏を過ぎった。
強く叱咤するように、右手首を左手で抑え付ける。
つい先ほど。
理性のタカが外れた。
ずっと女を避けていたと言うのに、その微弱な気が近付いて来るのを待っていた。
最悪な結果になる前に、何とか自制を取り戻すも、加減もせず触れてしまった。
このままスパーク状態が続き、超化が解けないままだとしたら…。
いよいよC・Cには居られなくなるだろう…。
だとしたら自身の行くべき所は何処なのか。
“宇宙”
その二文字が脳裏を掠めたと同時。
ベジータの耳元に、強い風音と機械音とが響いた。
バッシューンッツ!!!
カプセルコーポ社ロゴ入りのジェットフライヤー。
降りて来る女を見るまでもなく、ブルマが来たのを理解した。
が、合点が行かない。
ここはカプセルコーポから北、地球半周分は離れた場所にある。
随分と長い時間呆けていたのにも、女がここにまで追い掛けて来たのにも驚愕した。
「ベジータ。話を聞いて。」
暴挙を働く前に、飛び去ろう。
飛行体制を取ったベジータにブルマが小さく声を掛ける。
互いの距離は50メートル。
それを保ったまま、ゆっくりと口を開いた。
「私を避ける理由…。スパークが原因?それとも他に理由ある?」
ベジータの眉間がピクリと微動した。
スパーク以外に、何が彼女を避ける理由があるとでも言うのか…。
「ほら、私が嫌いになったとかさぁ。」
どこか言いにくそうに言葉を濁し、目線を泳がすブルマ。