現在
□自分説明書。
3ページ/6ページ
「私はB型よ。結構当たってるの。」
過去の情景が一瞬脳裏を過ぎった俺に、女はズイと画面を押し付けて来た。
“ケイタイ”と呼ばれる通信機の一種の画面だが、これは通信機以外にも役割があるらしい。
そこには、こんな記述が載せられていた。
“B型は魅力的で明朗。話題豊富で異性に好かれます。”
「ね〜?あってるでしょ〜?」
俺が目を通したのに満足したのか、女は顔を綻ばせ同じく画面に視線を向ける。
「困ってる人をほっとけないし人情深いのもB型の特徴よ。」
だからあの時、あんたをほっとけなかったのよねー。
と付け加え、女は目を細めて空を見上げた。
形を変え浮遊する大小様々な雲に、反吐が出そうな程ゆっくり流れる安穏とした空気。
…あの時もこんな空をしていやがった。
『あんたも来たら〜?』
その時の女の一言で、俺は仮初めの宿に今も身を置いている。
カカロットのヤロウが戻って来るならば、この場所に居た方が雪辱を果たすに都合良い。
それだけの居住にしては、随分と居心地が良く感じられた所為か…。
食事は常に暖かなものが用意され、味も申し分ない。
常に清潔なベッドはめったに使う事は無かったが、泥の様に眠るには最適だ。
要の重力室。
俺が一度全壊させてからは、最大限の気弾を放った所で破壊されぬ強度に改良された。
付け加えての戦闘服も、低文明な惑星にしては悪くない仕上がりだ。
『何よ〜。ありがとう位、言えない訳〜?』
変わらず不躾な態度の女には閉口するが…。