現在
□自分説明書。
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「“厳格主義の中にも隠れた優しさ”でしょ?合ってんじゃん!」
「優しい…だぞ?あの軟弱野郎と勘違いしているのではあるまいな?」
「馬鹿ね〜!ヤムチャの事だったら、とっくに終わってんのよ。」
何が女を喜ばせたかは到底理解出来なかったが、俺の一言は至極女を上機嫌にさせたらしい。
「ねぇねぇ。スーパーサイヤ人にもなれたんだしさ。今夜は一杯付き合わない?2人で祝杯をあげるの。」
「断わ…。」
「まっさか下戸だなんてオチは無いわよね。じゃあ決まり!」
俺が異を唱える隙も与えずまくし立てた挙げ句、女はスタスタと中庭から立ち去って行った。
(…ふん。
この俺が下戸だと?
随分となめられたものだな…。)
それが既に女が張り巡らせた罠だとは気付く由もない。
俺は不適な笑みを浮かべ、女を酔い負かすまでの間を再び精神統一にと向けた。
甘美なる罠。
踏み込んでしまえば二度と這い上がる事の出来ぬ、祝杯と言う名の快楽。
それに囚われるまでの、僅かな間を…。
end
→あとがき