小説
□嘘でも。(5p)
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「…なるほどね」
目の前にはいつも通りの風景。Bはデイビッドにすがりつき、怯えた目をこちらに向けている。
…無論、克服しようとする様子など無く。
「エイプリルフールとはね。…前にやられたのは何年前だったかなぁ。そんなものすっかり忘れてたよ」
少し期待した自分の情けなさを隠し、嫌味を込めて横目で視線を送ると、当の本人は楽しそうに笑っていた。
「だってなぁ。1年に1度だぞ!使わにゃソンだろ♪」
「まぁね。嘘をついてもいいんだか許されるんだか知らないけど…」
そういえば、と思ってチラリとBくんの様子をうかがう。
すると彼は一瞬ビクッと身体を強張らせ、目を逸らせてしまう。
…仕方ないか、と思ったが、ある事を思い付いた。