外伝公開所

□鍵の勇者と不屈の魔導師 外伝その1
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なのは復帰の日…

〜本局・13階〜

?「長かったぁ…ここまで」

本局の廊下を疲れた様子の男性局員が一人、手に持つIDカードを眺めながらフラフラ歩いていた

?「ヘヘヘ〜♪、ランクアップだぁ〜」

ヒラヒラとちらつかせている青を基調とした管理局員の証に書かれているのは、小躍りする自称普通の局員『湖西一斗』の名前とID、そして、

一斗「AAだよ!AAッ!これで俺もエースと呼ばれる日もそう遠くはねぇな」

AA、彼の魔導師ランクを示す指数が赤銅色で記されている

一斗「エースかぁ〜、ヘヘヘヘヘ…」

そう嬉しい妄想をしながら、下品ににやける彼のルックスは、まず太い

SUMOUライダーまでとは言わないが、痩せているとは断じていえない体格

やや丸みを帯びた顔、団子っ鼻、とイケメンのイの字も見当たらない

一斗「雑誌の取材とか来んのかな、参ったな〜〜〜♪あ、サインも練習しないとな、っと」

そう言いながら、本局の職員の制服からメモ帳とペンを取り出し、歩きながらサラサラと何度かサインの試し書きをする

一斗「ン〜、まだイマイチだな」

そんなこんな自分の書いたサインを吟味していると…
一斗「あ、着いた、着いた」

彼が歩みを止めたのは、
『特別嘱託局員事務室』
と書かれた銘打ってある部屋、その目の前

一斗(おいおい、誰も出勤してねぇのかよ〜)

入室状況を示す器械を見て、一斗は自分の功績を見せびらかす相手のいない事を知り、がっかりする

一斗「しゃーねぇな、一人で余韻に浸るとしましょうかね」

シュン

一斗「湖西一斗『AAランク』嘱託魔導師入りま〜す」

魔導ランクを強調しながら中に入る

室内は6つ設けられた事務用のデスクが向かい合って並べられているが、もちろん中には誰もいない、…が

一斗「ん?」

自分のデスクのモニターにはメールの通達を示す光が点滅している

一斗「ほ〜、早速俺の力を必要としているという事か…」

メールの送信元は管理局の特別指令発送用のモノ、普段そんな連絡はされない、それ故に彼は自分に来た指令の責任の重さ、名誉を感じていた

一斗「どぉ〜んと来〜い、なんでもこなしてやらぁ」

ピコン

一斗は喜々としてホログラムの画面を触り、メールを開く


『件名:やっとAAかよ
やっとAAランク昇格ね
まぁ、ランクが上がれば〜、あんたに任せられる仕事
が増えるし、私も嬉しいよん
んじゃ、私の部屋の書類の事務処理やっといてbyリィス』

一斗「……………………………………………………………………ふ、」

一斗は肩を震わせながら、画面を睨みつけていた

一斗「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!あんの糞ワガママ姫がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

一斗はどうしようもない怒りの丈を誰もいない部屋で一人、全力で吐き出した

一斗「ハァ…ハァ…ハァ…ッ、ハァア〜ア」

怒りに任せて叫び終え、息を切らしながら盛大な溜息をつく

一斗「くそぅ、他の奴らはまだかよぉ〜(ガクッ」

愚痴を零しながら部屋の右奥、彼の戦場となるリィスの仕事部屋(という名の書類倉庫)へと体を向ける

一斗「て、かな…」

『P.S あと、調べておいて欲しい奴のデータ添付しとくからそっちもよろしくコニシキくん』

一斗「俺はこ・に・し・だって、何回言えばわかるんだよ、チクショー」

添付されたデータを保存しながら、届くはずのないツッコミを入れる

〜翌日・同室〜

一斗「うへぇ〜、も〜ダメだー!」

部屋一面を埋め尽くしていた書類を半分程処理し終え、一斗が机に突っ伏す

一斗「やめだやめ、休憩を挟まんとマジでキツイぞ」

昨日の夕方から部屋に篭りっきりで約半日

一斗が立ち上がりブラインドを開けると、窓からは日差しが部屋に入り込み、朝になった事が分かる

一斗「〜〜〜♪」

コポポポポ

部屋に備え付けのリィス専用紙コップ式自販機から勝手に珈琲を拝借し、元の椅子にどっかり座り直す

一斗「ふぅ…」

一斗は珈琲片手につかの間のティータイムを楽しんでいると…
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