Milky load.
□Z beam
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「へえ。このチビ、えこ贔屓しやがる。」
リーダーは頬を萎ませ、ぼそぼそと答えた。
「別に。俺に出来そうな事だったから言っただけ。こんなんでもリーダーとして、本当は皆にそんな思いして欲しく無いんだ。」
しゅん、と下がった耳と尻尾の幻覚が見えたのはジーンだけでは無い。
「俺はもう痛いのも辛いのも平気だけど、皆は痛いし、辛いだろ?」
「何故、リーダーはその様になってしまったのですか?」
シメオンの問いに、リーダーはハッとして口を噤んだ。
俯き、目を合わせない。
しかし、シメオンは問いを止めない。
「理由と経緯と手段を教えて下さい。何故、泣き虫で甘えん坊だった貴方が、その様に強く逞しくなれたのですか?正気の沙汰なら、貴方も黙ったりはしないでしょう。手段が許せずとも、貴方が望んだ事ならば俺はラドクリフ様に対してもリーダーの良い様に計らいます。ですから、どうかお話し下さい。」
シメオンはリーダーの足元まで近付き、跪き、そっぽを向いたリーダーの手を取った。
相変わらずリーダーの手は袖から少し見える程度しか出ていない。
「貴方が黙ったままだから、ラドクリフ様も心配なさるんですよ?」
「小さい頃から俺はおまえ達みたいに強くなりたかった。おまえ達はそれを望まず、俺からそういうものを取り上げたけど、結局俺も闘わなければいけなくなったんだから、強いに越した事は無い。それだけで、それはちゃんと俺が望んだ事だよ。」
「亡きお父上に誓って?」
「パパはそんな事を僕に誓われる位なら、僕をパパの居る所に連れて行ってくれるよ。」
行かせないと、シメオンはリーダーの手を強く握る。
リーダーは真摯なシメオンを見て辛そうに目を閉じた。
「守られるだけは御免だ。俺は強くなって自分の足で立つ。今もう、立てるくらいには強くなった。…だからおまえ達は要らない。ラドクリフに何か言われたらそう答えて。」
「…畏まりました。」
レオの悲しそうな表情は、リーダーにではなくシメオンに向けられている。
ラビはその視線を追い、更にシメオンの視線を追ってリーダーを見た。
「で?どうやってそんなに強くなったんだ?」
「内緒。万が一にも敵に情報が漏れて、俺みたいなのが量産されたら大変だからな。」
「誰でもなれんのか?」
「さあ?他の国が改良に成功する可能性は0とは言えない。」
「それは誰にそう言えって言われたんだ?」
リーダーは軽くラビを睨み、ラビは「チビのくせに生意気な」と睨み返した。