曖昧な僕ら。
□女子会
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「姉さん、最近彼氏できた?」
「失礼ね。居る様に見える?」
「“保留”は仰山おるやろ?そん中で彼氏にしたってもええ様な目ぼしいのはまだおらんの?」
「これと言って際立ったのが居ないのよね。我ながらよくもまあ似た様なの集めたわ。」
「まさかまた増えた?見してー。」
枝豆を食べながら乞うCに、恵麻はスマホを見せてやる。
容姿は勿論二重丸、国内外問わず一流企業の出世株や若い企業家等の展示会を終え、恵麻はスマホをテーブルに置いた。
Cの目は半分程座っている。
「選択肢が仰山あるってのも困りもんやな。」
「そうなのよ。その内の一人からしか声が掛からないなら楽なんだけどね。この人と付き合うならあの人と付き合っても大差ないかも、なんて思っちゃうとどうしても先に進めないのよ。」
「モテ過ぎる方のこじらせ女子もええとこやな。」
「他人事の様に言うけど、あんただって似た様なもんでしょ?」
「俺はそん時の気分で好みが変わるからなあ。姉さんとは違う意味で一人に絞れへん。ま、それでも女と違って独りもんの男は困らへんでな。」
本当に高い鼻を「ふふん」と鳴らすCに、恵麻は目を座らせる。
「最低。」
「すっぱり切ったらん姉さんに言われたない。」
「だってこれ以上の男は他に探したって特に居ないんだもの。勿体無いじゃない。」
「姉さんなら大企業の社長とか石油王あたりでも落とせるんとちゃう?」
「爽やか系が好きなの。」
「かぐや姫みたいに無理難題ふっかけて叶えられた奴と付き合うてみたら?」
「かぐや姫ってドSで発想が豊かよね。」
「まあ俺もあんな鬼畜な具体例は思い付かんけどな。」
二人は酒を追加し、恵麻はデザートを注文した。
「もうデザート?早ない?」
「辛い酒飲んでると甘い物が欲しくなるのよ。あんたも食べる?」
「ほな一口だけ。」
甘い物は苦手だが少量なら美味しく感じられるCは、恵麻が差し出す一掬いのアイスに食い付いた。
笑顔のCに恵麻は慌ててアイスを隠す。
「いや、取らへんて。」
男ならこれで落ちるんやろうなとCは思いながら、それをBに当て嵌めてキュンとした所でスマホが震えた。
誰からかと思えば、ボスからだった。