Milky load.
□]Xselection
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蛇が這う様に愛撫しだした手に、リーダーの目が微かに揺れた。
それを金の瞳は見逃さない。
「じゃあ、代わりに君を頂いて行こうかな。」
「頂いてどうするん、うわッ!?」
無意識の反射で耳を舐めたジョエルを振り払おうとするリーダーを押さえて、ジョエルはリーダーの耳を舌先でなぞる。
必死に押し殺した反応を楽しむ様に、意地悪く、丁寧に、しつこく舐めた。
リーダーが必死なのは敵を楽しませない為だけではない。
急に繋がった無線の向こうに現状を伝えてしまわない様にする為だ。
リーダーの耳の外にも微かに声が漏れている。
「健気で良いなあ。」
どちらに言ったのか、ジョエルの加虐心に火が点いたのは鈍いリーダーにもわかった。
ジョエルはリーダーの耳の裏に鼻先を掠めさせ、首筋を唇で食む。
「まだまだ子どもだけど、柔らかい良い匂いがするね。」
ピアスだらけで痛々しい幼い耳に吹き込む様に話しかけたが、耳に入れられた無線が邪魔して効果は半減した。
少し拗ねてリーダーの耳を噛んだ。
「ッ!」
噛みついて無線を取り上げた。
良い反応をしたリーダーに、機嫌を直したジョエルは取り上げた無線を自分の耳に付けた。
「耳、弱いのにこれくすぐったくない?それとも愛しのラドクリフ君の声を耳の中で聞けて幸せ?耳元で囁かれてるみたい?勃っちゃう?」
「返せよ、変態。」
「そうやって変態を煽ると痛い目見るよ?」
「“それ”は俺のだ!返せ!」
楽しげに笑うジョエルの耳にリーダーは手を伸ばすが、信じられない位の強い力でジョエルに手首を掴まれ、小さく呻いてしまった。
ジョエルの耳から漏れる声が大きくなる。
ジョエルの笑顔に含まれる悪意が比例して濃くなった。
「ラドクリフ君が居なくて本当に困るんだよね。こうやって慰めてくれる人が居なくなっちゃったからさ。」
カッとなったリーダーをジョエルは嘲笑い、リーダーをこかしてその場に押し倒した。
「でもアズラエル、クリフオール君は、」
「ラドクリフよりも従順で好みだったけど、その時は手を出せるほど元気じゃなかったんだろ。」
馬鹿にし睨み上げるリーダーに、ジョエルは楽しそうに目を細めた。
しかしリーダーはその奥を見る。
笑わない金を、笑う青が見上げる。
「俺が今怒ったのはあんたがラドクリフを馬鹿にしたからだ。ラドクリフがあんたなんかにそんな事を許す筈が無い。」
「俺はあの野良猫の元ご主人様だよ?それこそ彼は、君へのとは違うけれど、同じくらい盲目的に俺に仕えてくれた。」
「仕える?ハッ!馬鹿にするなと遠回しに言ったつもりだったのに、わからなかったのか?」
リーダーは細い首を伸ばし、ジョエルの鼻先で鼻に眉間に寄せられるだけ皺を寄せる。
「ラドクリフは自分を押し殺してまで他人に仕えたりしない。頭が良さそうに見えて利害が一致した時だけは自分を犠牲にする事を厭わないけれど、あのプライドの高いラドクリフがこんな事をおまえの様な奴に許す筈がないんだよ。…俺と違ってな。」
自嘲し笑うリーダーの表情筋が動く。
微かに弧を描いた唇は、優越に歪み、笑う。
「ラドクリフは自己中でプライドが高い。そんな事も知らないのか?」
「…知ってるよ。」
「だけど俺の前では余裕の欠片もない情けない一人の男だ。」
「そうみたいだね。」
瞳から色を失くしたジョエルは、リーダーの首筋に唇を寄せ、集音機に向かって話し掛けた。
「ソナ君、男前だけど可愛くて良いね。悪くないよ。全然あり。君が夢中になるのもわかるよ。」
的確に攻め方が変わり、リーダーの笑顔が歪む。
「すっごく、苛めたくなる。髪の色も瞳の色も、儚げで良いよ。」
「自分と同じもんが股の間に付いてんの見りゃ気が変わるさ。」
「ねえ、ラドクリフ君にもこんな事された?ご褒美にさせてあげたりしたの?」
「だったら何?」
まだ強気のリーダーをジョエルは楽しそうに見下ろし、軍服のチャックに手を掛けた。