曖昧な僕ら。
□頼れる相棒
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『おかけになった電話は、』
「ちッ。」
かけてもかけても返事が無い。
「どこまで買いに行ってんだ、あの馬鹿。」
煙草はまだある。
ハナから早く帰って来いとすれば良かった。
それを伝えたくて電話をかけているのに、あの馬鹿。
どうせ煙草の催促をウザがって出ないんだろう。
日頃の行いがなんとやらだ。
「お。」
仕方がない迎えに行くかと思った矢先、Bからの着信に不覚にも安心してしまった。
「B、遅えぞ。」
『へえ。あんた、本当にこの坊主にはAって名乗ってんのか。』
『そりゃ知らねえわけだ。』
『ほれ坊主。世話んなってるお兄さんに何か言ってやれ。』
殴る蹴るの音はするのに声は一切漏れない。
これでB本人だとわかった。
『ここ、なんつー公園だったっけな。』
『早く来ないとこの生意気な坊主の頬裂いて、飯が皿ごと食えるようにしちまうぞ。』
『おいおい、せっかく育ちの良い可愛子ちゃんが家出してくれてんだ。変態に売り飛ばそうぜ。』
『サツ呼んだら、坊主は殺す。じゃあな。』
等間隔で鳴る電子音が判断を迫る。
「…どーすっかね。」
今ここで出て行けば人質の価値を認める事になる。
今ここで出て行かなければBが普通に生きていく事が出来なくなる。
今ここで悩んでいたとしても、もうBと一緒に暮らす事は出来ない。
「あれま。」
気付いたらBの帰り道でバイト先に近い方の公園にいた。