曖昧な僕ら。


□家出少年と家出少女
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「ママと喧嘩して、家を飛び出してきたの」

ヘルプで入った昼勤から帰宅中、通りかかった公園のベンチで独り哀愁を漂わせて座っていた女の子。
「おうちの人は?」という僕の問いにそう答えた。
一人にしておくわけにもいかないし、とりあえず連れて帰ってAに事情を説明し一時保護、…しようとしたらバイト先から着信。

『田中さ〜ん、帰って早々悪いんだけどさ。変な奴が絡んで来て困ってんだよ。』

「え?」

『あ、今余裕そうだとか思ったろ。便所に行ってた俺はな。レジに残してった奴が現在進行形で絡まれてんの。俺、痛いのとか血とかマジ無理でさ。ゆとりだし。あんた荒事イケるだろ?』

「…はい。わかりました。すぐに向かいます。」

『あざーっす。』

電話を切ってAに女の子を託す。
凄く心配だったけど、他に頼れる人がいないし溺れる者は藁をも掴む。
女の子の為にも現在進行形で絡まれているバイト仲間の為にも、迅速な問題解決に向けて家を飛び出した。

 

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