曖昧な僕ら。


□Aのお願いBの葛藤
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「ねえA。エガンダムオンQ見に行こうよ。」

「んだそれ。」

「知らないの?巨大人造人間ロボの超人気アニメだよ。そのエガンダムオンに中学二年生が乗って宇宙から来る敵と闘うんだ。」

「エヴァン、」

「エガンダムオン。」

そうこうしている内にAはBによって身支度が整えられていく。

「一人で行けよ。」

「ヤダよ。僕みたいなのが一人で行ったらオタクくさいじゃん。」

「アニメ見てる奴ってもうオタクじゃねえの?」

「僕は普通のアニメ好き。身長体重血液型誕生日、台詞や裏話まで全て網羅し、パチンコに興味がなくてもそのアニメの台が出たら足繁く通う。それくらいの愛を持った人達をオタクと言うんだ。彼等に失礼だから一括りにしないでよ。」

「うん、ゴメンナサイ。」

「あ、動かないで。顔切れる。」

「…髭も剃るのか。」

「アニメ映画見に来る瓶底眼鏡と寝ぐせ金髪髭の二人組って見るからにヤバそうじゃん。」

「んなに世間体気にするなら金曜待てば?」

「映画館では臨場感を味わうものだろ?」

「ああ、そう。」

「だから動かないでってば。邪魔されると午前のやつに間に合わない。」

櫛で撫でつけて邪魔な毛を捩じってピンで止める事で、Aの伸ばしっぱなしの癖毛が美しく整えられる。
Bは自分の作品の完成度に自分で驚き、時計を見てまた驚いた。

「わ!もうこんな時間だ!急ごう、Aってば!」

「へいへい。」

 

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