曖昧な僕ら。2
□Bと雪の王子
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Cが言い出しっぺの一泊二日強行ボードツアーの参加者は、BとCと渡辺、中村、佐藤の5人となった。
今回の旅でBは、かさばりゴーグルとダブルで曇る相棒はケースにしまい、コンタクトレンズを装用している。
新しい相棒にも少しは慣れて、1日2日ならもう平気になった。
助手席の中村は後ろを振り返り、イケメン率100%を目の当たりにして固唾を飲んだ。
「凄げえ。」
「中村、運転席も見てみ。」
「渡辺さんも確かにイケメンッスけど、バックミラー見たら自信無くなりますよ。」
「男は顔じゃねえって。鈴木は顔は普通でも彼女持ちだろ。」
「鈴木は男気が溢れてるッスもん。平均超えの助平なくせに何スかあの硬派そうなツラは。卑怯ッス。」
「おまえのツラは必死さと下心が駄々漏れだもんな。」
「ぐっ、でも漏れる漏れない別にして男なんて皆似た様なもんじゃないッスか!」
「しー。」
渡辺はバックミラーを見てまた前を見た。
Cは楽しそうに話を聞いているが、その隣でBと佐藤は互いに頭を預け合って眠っている。
Bは数時間前までバイトで、佐藤は直前までバイトだった。
良く寝ていて中村が騒いでも起きる気配は無いが、渡辺は優しい運転に努めた。
Cは微笑みを濃くした。
「ナベ君、運転代わって欲しい時はいつでも言うてや。」
「あざーッス。でもまだ大丈夫ッスから椎(シイ)さんも寝てて良いッスよ。」
「じゃあお言葉に甘えるわ。」
そう言ってCは躊躇い無くBにもたれて目を閉じた。
中村は良い笑顔で助手席に戻り、純正ナビを操作して話題のDVDを挿入して一人寂しく楽しんだ。