曖昧な僕ら。2

□オーダー入ります
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深夜。
真っ白でだだっ広い部屋の、真っ赤な絨毯の上。
ソファに寝そべって仕事をしていたCは欠伸を漏らした。
仕事中、時間を忘れる事等あり得ないが、改めて自分がその姿勢で居続けた時間を計算して項垂れた。

「うわ、昼飯食ってから動いてへんとか。」

それだけならまだ良い。
埃が積もっていそうだと払いながら身体を起こした。
納期も迫っているし、標的の勤め先である企業を監視し続け、次の潜入が省エネで済みかつついでに引き出せるだけ情報を貰って来ようと、監視カメラの動きや警備の穴、パスワードを含め情報収集を続けているが思った様にはいかない。
必要な情報は既に集まっているので業務に支障は無いが、それだけではこの界隈で食ってはいけない。
と、頑張って面白くも無い会社の風景に目を凝らし続ける生活を5日も過ごしている。
Cは指折り数えて急に眼の奥に痛みと首の重さを覚えた。
Aと被るのが嫌で武闘派からインテリに転職してから患った現代病のテニス肘も地味に痺れる。

「そろそろ外出るか。」

何時間前だったか、無性に解放されたくなり上半身は裸だ。
ビンテージのGパンを脱ぎ捨てれば着替えは簡単だった。

 

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