Milky load.
□]Vconceal
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「さっきのって、昨日の夜使ってたのと同じ?」
今はジーンに抱かれ、空を飛ぶ様に障害物を超えている。
流石のリーダーもそこまで跳躍力は無い。
「そ、姿を隠すだけ。でも傍からは俺が影から影に移動している様に見える。如何に省エネで大した事をしている様に見せるか、魔法使いの腕の見せ所だぜ。」
「魔法使いも大変だな。」
「そうでもない。魔力さえ満タンになれば殆ど敵はいない。…殆どな。」
「…。」
リーダーは「負けたくせに」とは思っても、決して口には出さなかった。
しかしジーンはリーダーの考えている事なんてお見通しで、楽しそうに笑った。
「おまえら人間は数だけは多いからな。」
「ふうん?この俺をその数だけに含めちゃうんだ?」
「本当の魔法使いには敵わない。」
「差別?」
「存在を軽蔑していない。それだけの差があるのは事実だ。さあ、行って来い。」
ジーンは空中で目標を見つけ、リーダーの背を押した。
「俺はミルキーが使える魔法の全てだ。どんな願いも叶えてやる。」
「ありがとう。」
地上の人間がふと現れた影に空を見上げれば、ポケットに両手を突っ込んだままの少年が降って来た。
かなりの高度からだったにも関わらず、リーダーは羽の様に着地し、笑顔のトールを見上げた。