Milky load.

□]\pal
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『兄弟って一緒に寝るんだって!』

かつて、幼い主が何処からか仕入れて来た情報を、上司が面白可笑しく悪乗りをした所為で、シメオンとレオは今でも定期的に行っている。
そうでもなければ二人が兄弟であるという意識が遠のいてしまうからだ。
シメオンは暑くても厚着をしないと眠れず、少しでも肌蹴ると目が覚めてしまう。
一方レオは、寝る前はきちんと着た筈の寝間着が引っ掛かっている程度になっても、爆睡出来る。
シメオンはだらしないレオを見下ろして、華やかな目元を引き攣らせた。

「(似ていないにも程がある。)」

部下として重宝する事はあっても、家族愛というものはまだいまいちピンと来ていない。
幼い主が兄弟だと信じて疑わなければ、今頃は一緒に行動をしていなかっただろう。
幼い主が結んだ縁ではあるが、だからこそ切る事が出来ない。

『良いなあ。僕もお兄ちゃん欲しかったし、弟も欲しかった。』

『レオで良ければあげましょうか?』

『もう!シメオンはレオに冷たい!お兄ちゃんは優しくしなきゃ駄目!』

『はあ、そういうもんですか。』

『うーん。僕には兄弟がいないし、ルゥとクリフも仲良しじゃないからわかんないけど。』

陽光を弾く幼い主の金の髪は、陽光が透き通る自分の金の髪とは違う色をしている。
深い海の様で広い空の様な青い目は、硝子玉の様な青い目とは違う色をしている。

『では、僭越ながら俺が坊ちゃまのお兄ちゃんになってあげましょう。』

『本当!?』

『はい。しかし使用人の分際ではラドクリフ様に叱られてしまうので、絶対に内緒ですよ?あとお喋りなレオにも内緒です。』

『ふふ、なんだか不思議。僕もレオもシメオンの弟なのに、レオは知らないなんて。』

楽しそうに微笑む幼い主を抱いた感触は今でも残っている。
レオに今でも感じる事の出来ない物を、あの時確かに感じる事が出来た。

「(坊ちゃまの笑顔が見たい。)」

あれ程表情豊かだった柔らかい顔が、今では精悍に凝り固まってしまった。
丸かった身体も、闘う為に研ぎ澄まされてしまった。
金の髪は色が抜け落ち、青い目は絶望に濁った。
昔よりも自分と似ているのが、シメオンは何一つ嬉しくはなかった。

 

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