REBORN

□日常=非日常
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可笑しい、おかしい、おかしすぎる。
何故こいつ等が此処に居るのか。
此処は少しシンプル過ぎるかもしれないが、立派な執務室。
ボンゴレボスのお仕事場。の筈なのに。
「〜っ、何でお前等がいんだよ!?代表でリボーン答えろ!」
今にも万年筆が折れそうな位に握り締めているボンゴレ十代目
沢田綱吉の目の前で、優雅にお茶を啜っている全身黒尽くめの死神。
リボーンは形の良い眉を片方だけ上げ、帽子の下から綱吉を睨み付けた。
「ほぉ〜う、俺様に答えを問えるほどお前は偉くなったのか?ダメツナ」
「ヒッ!」
瞬間火花を散らす拳銃。
これで何個目だ、忌々しい穴の数々は。
お願いだから簡単に拳銃をぶっ放さないで貰いたい。
修理費だって安い訳じゃないのだから。
「え〜っと、リボーンさんもう一回お聞きしますが 何で此処に居るの?」
本当に何でだ。しかもこんな日に来なくても良いのに。
こんな糞忙しい時に。
来るなら是非とも一週間前に来て貰いたかった。
リボーンは持っていたティーカップを机に置くと綱吉の問いに答えた。
「簡単な話・・・俺等が暇だからだ」
言葉と言葉の間を少し空け、それはそれは見事な笑顔で言い切る
黒尽くめの俺様家庭教師様に、何とも言い難い感情が生まれた綱吉は本気で泣けて来た。
心の中がしょっぱい水で一杯だ。
「・・・つまり、俺は暇つぶし道具?・・・」
リボーンの言葉にも結構打ちのめされたが、言葉の内容にも引き攣った。
あの死神は、「俺」ではなく「俺等」と言い放ったのだ。「等」と。
それがリボーンの只の悪ふざけだと信じたかったがそれも無理のようだ。
皆の無言のその姿が、全員リボーンと同意見だと言う事を
嫌にも思い知らせる。
そんなにも疲れさせたいのか、この虹っ子達はそんなにも。
虹っ子の相手など一人でも大変なのにそれが今日は+@で四人
合計で五人。
無理だ、そんな人数の虹っ子をたった一人で相手するなど死んでも無理な話だ。
確実に殺される。
否、天国にさえ行けないかもしれない。
何故そんな輩の近くに居る事が出来ようか、暇つぶしだと知っていながら尚更。
綱吉は忙しい忙しいと言っていた仕事も放り出して逃走した
恐怖のアルコバレーノ達から。


開かれた窓から入る風が白いカーテンを大きく靡かせる。             
家主の居なくなった部屋には五人の人影。
「やはり逃げたか、沢田の奴は」
「始めから分かってた事じゃないか、何を今更」
「逃げてもらわなきゃ、俺等がこまんだからこれで良いんでぜ、コラッ」
「・・・ボンゴレ、ホントにあの人は不幸体質だな、同情する」
「はっ、それがダメツナじゃねーか、思いっきり逃げ回れよ ツナ
じゃなきゃつまんねーからな」

こうして 最高で最低な鬼ごっこが半ば強制的に幕を開けた。
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