長編もどき

□無題
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「嫌だ!!離さない!!もう、離すもんか!!
ルーシュは悪くない!!
ルーシュは悪くないんだ!!
悪いのは…本当に悪いのは、彼奴等だ!!
守れなかった俺だ!!
だから、ルーシュのせいじゃないんだ!!」


ギュッと抱き締めるルークに、ルーシュは、うっと熱いモノが込み上げるのを感じた。


「ひっ…ぅ…うぁああああああ!!」


声を上げて、思わず泣いた。

悲しくて痛くて、思いっきり泣いた。

ルークは、そんな俺を、ただ頭を撫でて、大丈夫だと繰り返してくれた。


「もう、大丈夫。
絶対に…ルーシュを傷つかせないから。
俺が、護るから…今はただ…眠って」


その言葉を最後に、俺の意識は途切れた。



































ザッ…

砂が、巻き起こる。

研究所があった筈の、真っ白な空間で。


「これは…一体…どういう訳だ…?」


急な異変に気づき、真っ先に来たものの…この状況は…異常だ。

思わず顔を顰める。


「隊長!!子供が…」


思考していると、不意に聞こえた部下の声に、怪訝に思いながら振り返る。
「子供?なんでこんなトコに…!!
直ちに保護しろ、それと…公爵家に通達を」

「はっ」


部下に命令した後、砂の上を見つめる。

否、砂の上で眠る二つの赤を。

それを、見詰めて…


「……こりゃ、ちょっと大変な事になりそうねぇ…」


騎士団主席隊長、シュヴァーン・オルセインは面倒くさそうに、そう呟いた。







そして、此処から物語は始まる。
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