長編もどき

□無題
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言葉に詰まったウィチルに、どうかしたのかと部屋の中に入る。

すると、其処にはフレン以外にも四人…と犬が一匹、居た。

その中に、少し見慣れた薄桃色が見えて、目を見開く。


「リ…」

「え、エステリーゼ!?」


横で何かを叫ぼうとしていたウィチルの声を遮り、思わず叫ぶ。

睨まれた気がしたが、気にしない。

エステリーゼは、驚いた表情をした後、嬉しそうに笑いながら此方に駆け寄ってきた。


「ルーシュ!!」

「うぉあっ」


ドンッと抱きつかれ、思わず後ろに転けそうになる。

それを必死に留まりながら、俺は急いでエステリーゼを離した。


「い、いきなり抱きつく奴があるかっ
危ぬぇーだろっ」

「あ、すみません…でも、ルーシュと会えたのが嬉しくて、つい…」


…ああ、忘れてた。

ほのぼのと花を散らすエステリーゼを見て、少し頭を抑える。

コイツが、ルーク並みに天然なコトを…

くそっ…良心が痛む…


「…まぁ、もう良いけどよ…フレン、何で此処にエステリーゼが…って、フレン?」

「ん?何だい?」


我らが隊長、フレンは、ニコニコと笑っていた。

うん、清々しい程に笑ってるけど…ちょっと…


「な、何か怒ってないか?」


こ、怖ぇ…

アレだ、説教をしてくる時の表情だ、この笑顔は。

で、でも何でだ?

こ、心当たりなんてぬぇーぞ!!

おろおろしていると、不意にルークも同種の笑みを浮かべているのに気づく。

なんなんだよ!!


「ふぅ…大丈夫、怒ってなんかないよ、ルーシュ」

「は?え、でも今…」


穏やかに微笑みながら言うフレンに、首を傾げる。

すると、横にいたルークは、溜め息混じりに言った。


「…ルーシュの鈍感」

「はぁ!?ルークに言われたくぬぇーっつの!!」


思わず睨めば、はぁ…と、また溜め息を吐かれる。

全く、なんなんだよ!!

眉を盛大に顰めると、フレンは苦笑しながら口を開いた。



「ま、兎に角、紹介するよ。
彼女は、僕の部下のソディア、それとアスピオの研究所で同行を頼んだウィチル。
それと彼は…」

「俺は、ルーシュ・フォン・ファブレ、こっちはルーク。
どっちもフレンの部下だ。」
フレンの言葉の続きを繋げて言う。

すると、一瞬ソディアが不快げに眉を顰めた気がしたが…まぁ、気にしない。

飄々とした態度を取っていると、ソディアは咎めるような視線を他へと逸らした。

はぁ〜…俺、コイツ苦手なんだよな…

まぁ、ルークやフレンに危害は加えないから嫌いでは無いけどよ。


「こいつっ…賞金首の!!」


ぼんやりとしていると、ソディアが黒髪の男に剣を向けだした。

賞金首…って、アレか…

…絵、下手くそだな、描いた奴。

存外整った顔立ち(美形ってやつか?)をしているソイツに、思わず思う。


「ソディア待て!!彼は私の友人だ。
確かに軽い罪を犯したが、手配書を出されたのは濡れ衣だ。」


フレンの声が響いて、少し目を見開く。

ああ、コイツが…


「フレンが話してた…ユーリって奴か?」

「ん?あぁ、多分そうかな」

「ふぅん…」


なんか、フレンの友人っつーから、同じタイプの人間だと思ってたんだが…

何か、違うな。

無表情だから良く分かんぬぇーけど…

まぁ、フレンの親友なんだから、良い奴なんだろう。

ま、俺には関係ぬぇーだろぉし、どうでもいっか…


そう思い、視線を逸らす。

それが、ソイツの…ユーリの第一印象。

そして、この時の俺は知る由もなかったのだ…

コイツと、自分と大きく関わり合い、世界を救う羽目になるということにーーーー




















◆◆◆◆◆

あとがき

いきなり話飛んで本編行っちゃいました(笑)

ちまちまと過去編もアップしたいと思っています…

まぁ、それはさておき。

最初はユーリと険悪設定にしようかと、日記ネタには書きましたが、なくなるやも…

大使に厳しいユーリは管理人には書けぬと悟りました(笑)

まぁ、最悪でも最初はどちらも無関心って感じだと思います。

取り敢えず、徐々に大使が総受けになって行くのをニヤニヤしながら書きたいと思います(笑)

それでは。
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